花暦/場所と行為 2023/04/02 〜2023/09/11

ほさきから、404 not foundへ

2023/04/02(日)

花の暦がずいぶんおかしくなっています。
3月上旬、というか11日に近くの公園で梅と沈丁花が花盛りなのを見て、今年はずいぶんずれ込んだなあと思っていたのですが、その翌週には桜が咲きだしました。
雨が多かったのでじっくりお花見のできる期間は短かったものの、この立て続けに咲きだす感じはなんだかまるで北国の春のようだ……と思っていたら、その翌週には東北で桜が咲き始め、すぐに満開になったとのニュース。
4月に入った今日は、モッコウバラが咲いているのを見ました。タイムラインでは紫陽花が咲いているという話も見かけて、知らないうちに時計がぐるっと先に一回りしてしまったようです。

昨年秋に書いた自分の日記の、値上げについての文章にしみじみしています。値上げ、本当に増えましたね……。電気代もですが、4月からは社会保険料やらがまた上がるようです。
自分のための出費について、自分が自分に許さない時期がそれなりにあったので、何でもかんでも(それこそ不要不急のものを)切り詰めたら苦しくなるというのは知っているのですが。卵の値上がりが悲しいです。

ところでご質問の去年の冬はどうしていたかな、ですが、ぱっと浮かんだのが筋トレでした。
公演などはあったものの、なんだかんだで結構穏やかな日を過ごしていた気がします。後はそうそう、年明けになってからの話ですが、デパートで足を測定してもらって靴を買ったりしていました。自分の足が思ってた以上に小さかったことが判明したり、面白かったです。3月頭に発表会にもいっこ出ました。

今年は3月31日が金曜日だということもあってか、年度末は自分もタイムラインで見かける方達もみんないつもよりばたばたしていた気がします。疲れている方も多かったような。わたしはさすがにダウンはしまったものの、朝夕が寒いのでまだブーツがしまえずにいます。404さんはお引越しの準備もあって大丈夫ですか。妙な気候はまだまだ続きそうです。

2023/04/09(日)

チケットを譲られたのでお能を観に行ってきました。
観に行くたびに意識が遠くへいってしまうことでわたしのなかでは評判の日本伝統芸能・お能ですが、今回は小さい子が出演していたので(小さい子が科白をしゃべってからは)真面目に観ていました。たぶん小学校低学年くらいの男の子なのですが、あんな舞台手前での長時間の正座はつらかろう(途中からお尻にクッションを入れてもらってました)、忠臣蔵のような裾の長い着物で立ち歩きをするのは難しいし緊張するであろうなあ……と、うさぎ達とはらはらしながら見守っていました。
観に行った「歌占」という演目は三難のひとつに数えられる演目だそうで、後半になってもなお収まることなく、むしろ盛り返す激しい動きがあるのが見どころだと思うのですが、個人的には、踊りが終わって演者たちが下がったのと同時に、舞台正面奥にいる楽器奏者たちが楽器をしまい始めるのが、ついさっきまで舞台上にあった物語が蜃気楼のように消えていくようで印象的でした。

同行したHさんに、男物狂い(能で、男性主人公が狂乱するストーリーの曲、ということかなと思います)は女物狂いに対して少ないこと、子供と離れ離れになる父親というストーリーは母親のそれに比べて珍しい、という話を聞いてうーむとなりました。うーむ。
なお、うさぎ達は一緒にお茶をしたHさん宅のいるかさんに、今後ちやほやされるための悪知恵を吹き込んでいました。師匠として尊敬されて嬉しかったようですが、何というか、どんどん自信満々になっていく……。

お茶するお店を探していた際に通りがかったお寺の藤棚がとても奇麗だったのですが、帰宅してから、そもそも今って本来なら藤のシーズンではないな、…と気づきました。足利フラワーパークのイベントも藤の開花に合わせて前倒しになったといいますし、やっぱり色々ずれていますね。

2023/04/23(日)

前橋文学館への遠足、楽しかったですね。
詩を展示する文学館、ということで入り口のガラス扉から始まって壁や渡り廊下などあちこちに萩原朔太郎や、今回の企画展示「魔女の森へ行く」の主役である川口晴美さんの作品が展示されていて、一つの建物の中でこんなにいろんな見せ方ができるのか、と面白かったです。
詩の展示、で恐らくわたしが最初にインパクトを受けた展示は靖国の遊就館で、あそこでは万葉集や、第二次世界大戦に従軍された方の短詩作品が展示されているのですが、前橋文学館は展示の仕方含め、言葉が自由に息をしているなと思いました。……比較対象が比較対象だ、ということかもしれませんが。たまにネットで写真を見る、草野新平記念館も、言葉の展示の仕方が面白そうです。
会場では以前404さんと朗読した作品を川口さんご本人が朗読されている音声が流れていて、そういう読み方をされるんだ! と驚いたりしましたが、その後の朗読イベントの群読もよかったです。
聞きながら言葉とか詩とか表現、というよりは、その周囲を取り巻く色々なものにずっと疲れていたのだなと実感しました。

朗読してくださった大学生のみなさんが一時間半から二時間かけて大学に通っているというのにびっくりしました。

2023/04/30(日)

悪い大人の飲み会、楽しかったですね! 
うさぎはたいそうご機嫌でした。


とてもごきげん。

2023/05/02(火)

朝ドラの「らんまん」をぽつぽつと観ています。明治時代から始まる物語ということもあり、今週はまるで大河ドラマのような趣です。
坂本龍馬をはじめとした高知の有名人、民権運動の立役者であろう人たちと主人公の人生が交差していくのを、まあ時代が同じだしフィクション&高知県へのサービスとしてうまく絡めてるんだなー、くらいの気持ちで当初は見ていたのですが、生まれから要請される「やるべきこと」に対し「やりたいこと」を貫くという主人公(とその姉)のテーマと民権運動とを組み合わせる、というか重ねて見せていくという今週の展開にはなるほどなあ……と思ったのでした。
弾圧される運動者の優しい嘘と家の力とで牢屋から逃げおおせた主人公、というのは、女なのに酒屋の営みに興味を捨てられない自分は醜いという姉の言葉とも重なる。ずっと、のほほんとしたお坊ちゃん然としていた主人公が、自分のやりたいことと自分の置かれた状況に正面から向き合わざるを得なくなった。民権運動としての描き方や、女性の描き方としてはどうなのか、そもそもこの先の描き方はどうなるのか、ちょっと気になるところはあるものの、ほんとうは、自分がやりたいと思うことをやるということは戦いだし抵抗なのだな、と思います。
そういう物語を今、この日本でやるということ。

ひらたから、ほさきさんへ

2023/6/14(水)

雨続きですね。毎日湿気がすごいです。さすがに苦しくなって除湿に頼ることが増えました。この1か月くらい気候の影響もあるのか体調が悪く常に低空飛行でしたが、少し上向いてきたので書きたいと思います。

yenさんが花の暦がおかしくなっている、という話を書いていましたが、日々の気温などもどこか「この季節にしては暑すぎる……と思ったら肌寒い」など安定しないなあと思います。気候変動の影響もあるでしょうし、そもそも自然に対してそんなに思い通りにはならないのは当然ではありますが、もう少し肉体のほうを鍛えないと負けている時間のほうが多くなってしまいそうだなと思う日々です(すでに負けているのだとは思います)。

そしてお気づきだと思いますが、この交換日記の名前を「404 not found」から元の「ひらた」に戻しました。

短歌をやっているときにあったトラブルの影響で、一時期「平田有」という名前を使うことが、すごくわたしをつらい気持ちにさせたのですが、友人はみなわたしを「ゆうさん」と呼ぶし(そうしてわたしもその呼ばれ方に慣れているので)、じゃあその「ゆう」にくっついていた苗字を使うのがいいのかな、と思った次第です。二転三転しまくりの人間でごめんなさい。そうして結局はものを書くときは「平田有」という名前を使っていくのだろうなあとも思いつつ、わたしが本当に今後も物を書いていくのかはいまだに謎です。自分の感情の整理のために書き散らすことはあっても、こうしてyenさんと交わす交換日記だけがわたしを「外に向かって書く」という場所であり行為に留めてくれている気がします。

2023/6/15(木)

そう、それで引っ越しです。引っ越しがいよいよ近づいてきました。

2023/9/11(月)

……上記のとおり力尽きて、数か月。なかなか情緒不安定な日々を過ごし、浮いたり沈んだりしていました。よくよく考えると「引っ越しがいよいよ近づいてきた」と書いているのが6月15日、実際に引っ越したのが8月頭ですから、どんだけ不安だったんだろう……と思ってしまいます。一か月半も「いよいよ」なんて思っていたら、そりゃ疲れるはずです。

新しい生活にも少しずつ慣れてきました。近くのスーパーは安くも高くもなく(yenさんが書いていた4月の物価上昇から数か月、ますますの物価高で、どれくらいが普通だったのかわからなくなりつつあります)、だけれどこれまで使っていたスーパーよりずっと大きく、引っ越した当日に買い出しにでかけたところ、あまりの種類の多さに、「こんなにたくさんの物のなかから選ばなきゃいけないなんて!」とべそをかきました。一晩寝て起きたら、選ぶものがたくさんあるのはすばらしい! と思えたのでよかったですが。

一人の生活は静かで、本や漫画を読む時間が増えました。荷ほどきのついでに本の整理をしていること、SNSにあまり常駐しなくなったこと、電車に乗る時間が長くなったこと、そしてやっぱり一人になったこと。いろんなことが関係しているのでしょう。ただ何かを読むことで修復されていく感じはあり、こういう時間も必要だなと思っています。

引っ越してから、『BANANA FISH』(吉田秋生著)、『てるてる×少年』『ゴールデン・デイズ』(いずれも高尾滋著)、『ANIMAL X』(杉本亜未著)、『永遠のソール・ライター』などなどを読みました。やっぱりまだ漫画が中心ですね。最近は『モモ』(ミヒャエル・エンデ著 大島かおり訳)をのろのろと読んでいます。

あととある詩人の方の作品もゆるゆる目を通してはいます。ただ自分が詩とこれからどう付き合っていったらいいのか、まだわからず、なかなかこの状態で関わるのは申し訳ないなとも思い、のろのろしています。yenさんもお待たせしてばかりでごめんなさい。もうしばらくかかりそうです。


このブログの人気の投稿

浦島太郎/時間を手繰り寄せる 2023/09/15 〜2023/10/13

花・熱帯・沼 / 拾う・疲労・披露 2022/6/29~2022/9/4

どこまでが故郷であったか/もち、萌ゆ 2022/03/10~2022/03/27