2021/7/3 - 7/16 運命の誰かじゃなくって / 梅雨明け

404 not foundから、ほさきさんへ

2021/7/3(土)- 7/4(日)

2週間ほど時間が空いてしまいました。潔く今日から再開させてください。

先週末にかけて、すごい雨でしたね。ずっとバケツをひっくり返し続けているような雨。
災害が起こってもおかしくないなと思いながら夜眠り、早起きして家の掃除をして一息ついたところで、熱海で起きた土石流の映像を目にしました。黒い塊が家屋や車を押し流していく映像に、へんな声が出てしまいました。親戚があのあたりで働いているので、心配になって実家に電話をかけたところ、母と親戚はすでに連絡を取り合っていて、無事であったことが確認できました、が……日に日に明らかになる被害の状況に言葉がありません。

土曜日はもともと友人に会う予定をいれていたので、昼過ぎから出かけました。
アイドリッシュセブンに出てくるTRIGGERというグループの配信ライブを友人とみることになっていたのでした。といってもわたしは前日まで、そのライブのことを知らなかったのです。LINEグループで話題には出ていたはずなのですが、5月から6月にかけて、忙しくてほぼそのグループに顔を出せずにいたため、集まる予定が流れてきたときだけなんとか返信はしたものの、趣旨を全く理解していませんでした。

そんなかんじで、ほぼ「わけわかってない」状態で配信ライブに突入したところ、刺激が強すぎて、しばらく起き上がることができませんでした。2次元とも3次元ともつかないコンテンツの沼力たるや。あっという間に沼に逆戻りして、土曜日からこちら、アイナナのライブBlu-rayを再生しつづけています。

日曜日は都議会選挙へ行きました。
わたし個人としては予想していたよりは悪くない結果だったように思いますが、いずれにせよ日本における保守政党の強さを思い知りました。政策に多少違いはあるといっても、都民ファーストも自民党もわたしから見れば、かなり近しい位置にあり、どっちが第一党になってもさして変わらない気がしてしまいます。野党が1/4の議席を獲得したことで議会の招集がしやすくなる旨の情報を見かけて、そのことはよかったと思ったりしていました。

2021/7/5(月)

引き続きの雨でした。普段は火曜日にしか会社に行かないのですが、今週は今日も用事があって出社しました。久々に会社のひとと会うと、それぞれの様子がわかってうれしくなってしまいます。リモート中心でコミュニケーションのむつかしさを感じている部分があるからでしょうね。文字でのコミュニケーションは思ったよりも読んでもらえません。

夕飯を食べながら、土曜日に見逃していた『青天を衝け』を見まして、渋沢栄一がパリへと向かうくだりでうさぎが色めきだっていました。(パリに行きたい!)(わたしも!) 

いつかルーブルやポンピドゥー・センターにうさぎを連れて行ってあげたい。美術館にいるうさぎを想像するとちょっと愉快な気持ちになります。もしその子たちは何? と聞かれたらJapanese ZEN rabbitと紹介したいです。

わたしがぼんやりしている間にうさぎたちの誕生日(?)も過ぎてしまいました。落ち着いたら誕生日パーティなどしたいものですね。

2021/7/9(金)

長い一週間でした。最近仕事で新たな役割をもらい、慣れないことが多すぎてひいひい言っています。自分が先頭に立つ場面や、決めなければならないことも増えました。適宜これまでの仕事は周りに渡して、別のことをしないといけないのですが、どうにもうまく手放せず仕事が増えるばかりで困っています(自業自得です)。

少し前に『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ著)を読みました。英国に暮らす著者と、その息子さんの中学校でのエピソードとともに、実際に遭遇した人種差別や、帰属意識や、その不在などについて語られている本です。

帰属意識とは少しずれるのかもしれないですが、今期、大学で受講した貧困に関する科目のなかでアイデンティティとは、

アイデンティティとは, 個人が他者とのかかわりの中で獲得する, まとまった自己の感覚のことだ

とありました。けして自分ひとりで獲得できるものではなく、他者の承認を得てはじめて可能になるものであり、組織や家族、地域社会の一員であることが主要な方法であるとも。

貧困はそれを難しくする、という文脈での説明ではありましたが、以来ずっとアイデンティティの獲得について考えていたのです。自己の呈示と他者の承認がセットなのであれば、ひとりでは自分がなにものであるのかを得るのはむつかしい。わたしたちはみな、なにかひとつのアイデンティティでのみ形成されているわけではありません。他者とのかかわりの分だけアイデンティティを持っているともいえるのかもしれませんし、同時にかかわりを得られないひとほど、多様なアイデンティティを持つことに困難が伴います。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』のなかで、LGBTQに関する授業について語られるくだりがあります。それぞれの頭文字が意味すること、フォビアがいけないこと、ジェンダーステレオタイプも間違っていること。それらを一通り教わったあと、息子さんが友人と自らのセクシュアリティについて語り合ったことが紹介されていました。自らのセクシュアリティについて、孤独に疑問を持ち、他者との差分に右往左往するのではなく、成長の過程で、正しい知識を与えられること、友人たちとともに自らについて考える機会を得られること、何より差別されない、差別はいけないという前提が社会の共通理解としてあること、そういう経験や状態があるか、ないか、では世界との対峙の仕方が随分違ってきてしまうと感じました。

この本を読んだあと、英国の著者アリス・オズマンによって描かれたBL『ハートストッパー』を読んで、社会でのマイノリティの受容のされかたや、マイノリティに対する理解の水準が高いことで、BLに出てくる登場人物たちの描かれ方、つまり、作中で彼らがどうアイデンティティを獲得していくか、その道筋も日本とは随分異なるだろうと思いました。

日本の社会で、セクシャルマイノリティと呼ばれるひとたち、わたしもその一部にいるわけですが、自分がなにものであるかを獲得するのは、とてもむつかしい状態にあると思います。誰かと自分を比較して、異なると認識する経験だけではなく、同一だと認識する経験も必要なのではないか、じゃなければ、どうしたって異質なものとしてからスタートしてしまう、というような……うまくいえないですが、長いこと商業BLを読んできて、確かに救われてきたことは確かなのですが、それらの多くは、たった一人の誰かが救ってくれる、わかってくれる、という形だったようにも思ったのです。どこかにいる運命の誰かが主人公を承認してくれる物語。それは若いときのわたしが想像しやすい、でもけして叶うことはない現実だったとも思います。

長々と書いてしまいました。
わたしがこの交換日記をさぼっていたので『ナビレラ』の話をするタイミングを逃してしまいました。最後のシーンまでたどり着きましたか。よければ感想聞かせてください。


ほさきから、404 not foundへ

2021/7/10(土)

九州地方には豪雨警報が出ていましたが、東京は久しぶりに晴れました。午前中にコンビニへ行ったのですが、ほんの数分で「もう今日はこれで十分です」と言いたくなるような陽射しで、マスクの下が汗でぐっしょり濡れてしまいました。週明けには梅雨明けになるのではないかという話を聞いて慄いています。
静岡方面にいらっしゃる404さんのご親戚がご無事とのこと、よかったです。今年も台風があまり来ないとよいのですが。

観終わるのがもったいないのでちょっとずつ見ているNetflix『ワッフルとモチ』の、今日見た回のテーマは米でした。『プリンタニア・ニッポン』のすあま達にもちょっと似ているモチ(イチゴ味の雪見だいふく的な子です)が、オバマ夫人達の作っているファミリーツリーを見て自分のファミリーツリーを作ろう!と、友達のワッフルと冒険の旅に出ます。世界の米料理の紹介や、できたてのよもぎ餅といっしょに並べられたり記念写真を撮るモチの姿ににこにこしていたのですが、ドラマの最後、血がつながってなくても、大親友だって家族と呼べるのよ、という言葉が出てきて、すごいなあと思いました。ファミリーツリーから始まったドラマがこう締められるとは。
子ども向けのコンテンツにこうした目配りを感じるとき、その目配りにほっとする小さい自分と、自分もそういう大人になりたいなと思う自分と、両方がいる気がします。なりたいもなにもとっくに大人、ではあるのですが。できれば幼い頃に出会いたかった価値観に大人になった今出会えたことで時に苦しくなることもありますが、しずかに癒される部分もあるように思うのです。

2021/7/11(日)

目を覚ましたら筋肉痛のような痛みがあって、おかしいなそんなに激しい運動もしてないのに……と首をかしげていたのですが、もしや熱中症になりかけの症状か、と気づいてぞっとしました。目玉焼きにかけた塩の粒が、妙においしく感じる今日この頃です。

外出先で美濃焼の器を買いました。器を買うのは久しぶりです。去年から台湾に倣って朝ごはんをお粥にしているので、それに使う予定です。週末は小豆とビーツ(五キロ買ったのでまだなくなってない……結果、一部芽が出始めています)の甘いお粥を食べているのですが、そろそろ去年みたいに豆花(もどき)も食べましょうよ、とうさぎにせっつかれています。

あまりテレビを見ない生活をしているのですが、たまにつけると東京オリンピック開幕まであと何日、みたいなニュースが普通に流れてきて、くらくらします。SNSはもちろん職場でも、オリンピック後の東京の感染拡大状況は一体どうなるんだろうと話しているのに。この状況で観戦したい人っているんだろうか……と思っていたのですが、無観客開催決定に伴いオリンピック会場近くのホテルには大量にキャンセルが出たそうで(そしてそれによるホテルの経済的打撃はかなりのものなようです)、ということはやはり、あるところにはニーズがあるのでしょう。昨日寄ったコンビニの入り口近くにはオリンピック記念のTシャツを売る専用の棚が設けられていました。

美濃焼の器。使用前の器には入ってもいいよと言っています。


2021/7/14(水)

京都は今日が宵山です。月曜日から祇園祭の写真をtwitterで検索しては、いいなあいいなあと溜息をついています。今年は巡行しないものの、技術継承のため山鉾を立てるそうです。
やろうと思えばその日に行って帰ってこれるので、学生時代から京都にはよく行っていました。四条通の道路が人でいっぱいになる宵山の夜は一度しか経験がないのですが、昼間に街中の鉾を巡ったり、巡行の先頭を務める長刀鉾の出発は2、3回見送ったことがあります。年々暑さはひどくなるので祇園祭の時期の京都へ行くのにもかなり勇気が必要になってきましたが、動画や写真を見ていると行きたさが募ります。
二年休んだら技術が継承されないのは、京都の山鉾だけではないでしょう。大学の演劇サークル、ひいては演劇文化はコロナの影響で今後大きな影響が出るのではないかという予想を、以前twitterで見かけました。

そうそう『ナビレラ』、観終わりました。韓国の社会の在り方とか家族や仕事に関する価値観についてとか、色々思うことがあったのですが……主人公はじめ各キャラクターの物語はすべて、今更何かに気づいたり新しいことを始めるなんて遅いのではないか、いやまったく意味がないことはないはずだ、ないんだ、ということをテーマにしていたように思います。それはわたし自身も数年前から、あるいは今もよく思うことなので、だから第一話から泣いてしまったのだろうと思います。
創作や表現について、誰も彼もが賞だとか評価だとかそういうものを求めるわけではない、というのは表現に関する議論でよく言われることですが、自分はあんまりちゃんとわかってなかったかもしれない、とも思いました。その意味では第一話で魅入られたようにバレエを始めた主人公がバレエを諦めようとしたとき、車椅子のダンサーの踊りを見てもう一度踊る意味を見出すシーンはとても良かった。

ちなみに原作である漫画版についてもちょっと調べたのですが、ラストがちょっと違っていて、漫画版では施設に入った主人公は数年後に再開した先生を思い出せないのだそうです。個人的にはあのドラマの、クライマックスまでの展開のシビアさには漫画版のラストの方が合う気もします。

最近は『LUPIN』も観ています。フランスが舞台で第一話にはルーブル美術館も出てきますが、404さん宅のうさぎが好きそうなおしゃれな場所はあまり出てこない感じです。ちなみにわがやのうさぎにパリについて聞いたところ、大きなくまさん達がカフェにいる街ですね!と自信満々に言われました。パリのくま達はそろそろ人間たちに椅子を返している気もしますが、美術館やカフェを楽しむうさぎ達を想像するとなかなか素敵です。

2021/7/16(金)

梅雨明け宣言が出ました。
本当にやるの? いやいやさすがにうそでしょ? と思いつつ時折SNSに抗議タグを流していたオリンピックも、ついにあと一週間を切りました。個人的にはちょうど法事の時期に重なります。

4月の法事に引き続き、7月末に法事で北海道へ行くので飛行機を予約しているのですが、飛行機会社から空港などでPCR検査や抗体検査ができるという案内が来ました。4月にはこんな制度なかったのにと驚きつつ、とはいえターミナルによっては予約もいっぱい、といって検査のためにわざわざ繁華街まで行くのもよいのか悪いのか……と考えていたのですが、今朝ニュースを見たら東京五輪の選手団や大会関係者らの入国が集中する7月11日から22日まで、国土交通省から各航空会社に一般客の予約停止を要請していたとのことです。空港等での検査もおそらくこれと連動しているのでしょう。なんだかテスト前に焦って勉強する子どもみたいだな、と思います。

もう少しでこの日記も一年ですね。日記を始めた時、一年後がどうなっているか全く見えませんでしたが、もうちょっと色々なことが解決されていると思っていたのではないかという気がします。

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