2021/2/6 - 2/19 じっとしている / ほころぶ

404 not foundから、ほさきさんへ

2021/2/6(土)

一日ふとんのなかでじっとしていました。動けなくなるこの感じ、なんなんでしょうね。けっこうな頻度でそういう日があります。
夜はなんとか寝床から這い出て、うつうつとした気持ちを抱えながら、ごろごろと肉の入っているカレーを作って食べました。わたしも気晴らしのイベントは食べ物のことが多いです。最終的な娯楽としての食べ物。それってどういうことなんだろう、みたいなことをついつい考えてしまいます。

2021/2/7(日)

skyではデイリークエストなるものがあり、毎日4つほどお題が出されます。たとえば、フィールド内の指定された場所に行き瞑想をする。瞑想では一定期間、同じ問いかけを繰り返しされます。「絶対に失敗しないとわかっていたらやりたいことはなんですか?」とか。

これまで、「帰省」とか、「家を建てる」とか「やりたいことは失敗する/しないに関係なくやる」とか好きに答えてきましたがいよいよ回答に尽きて、「ヒヤシンスを育てる」と答えました。答えたあとで、yenさんがヒヤシンス育ててるからだな、と思い至りました。

今の家はとにかく朝の陽ざしが強くて、ベランダーで植物を育てるのには向きません。すぐカラカラになってしまう、とか言いつつわたし自身の面倒見の悪さのせいかもしれません(…)。なのでせいぜい切り花を買ってきて飾る、くらいのものでしたが、水耕栽培ってどうですか。ずぼらなわたしにもできるものでしょうか。Twitterでyenさん宅のヒヤシンスが伸びていく様子を見ていると、たのしそうだなあと思います。動物であれ植物であれ、なにかしらの生きものと暮らしたいな、とずっと思っていたりします。

2021/2/8(月)

半休をもらい、宝塚歌劇雪組公演 『fff -フォルティッシッシモ-』『シルクロード~盗賊と宝石~』のライブビューイングを観に行きました。宝塚大劇場の千秋楽、かつトップスター退団でもあるため(東京公演はこれからですが)、退団者のセレモニーや、トップスターのサヨナラショーなどもあり、盛沢山でした。

ベートーヴェンの半生を題材とした『fff -フォルティッシッシモ-』の内容についてはまだうまく言葉にならない部分が多いのですが、わたしは「真彩希帆」という舞台人が本当に好きであるのだな、とかみしめていました。舞台を重ねるごとに成長していく真彩さんを見ていると不思議と元気をもらいます。

数日たってから、クラシック音楽と世界史をあわせて説明してくれる(であろう)新書を注文しました。舞台の表現を考えるにも知らないことが多すぎる。

2021/2/11(木)~12(金)

人新世の「資本論」』を読んでいました。先日の100分de名著の資本論の回で解説役として出演されていた齋藤幸平氏の新書です。「人新世」とは以下のように説明されていました。

人類の経済活動が地球に与えた影響があまりに大きいため、ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツェンは、地質学的に見て、地球は新たな年代に突入したと言い、それを「人新世」と名付けた。人間たちの活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代という意味である。

まだ中盤までしか読めていませんが、序盤から「SDGsは大衆のアヘン」と言い切り、マイバックを持つなどの小さな善意が現実の危機から目を背ける免罪符として機能している、とありました。気候危機の原因の鍵を握るのは資本主義であり、マルクスの『資本論』を参照しながら、資本と社会と自然の関係について論じている本です。

自分のしている生活が「帝国的生活様式」と書かれていることにはっとし、大量生産・大量消費型の社会は多くの犠牲のもとに成り立っている、そんなんわかっていただろう、と言われたらそうなのですが、所得階層の上位10%は日常に排出される二酸化炭素の半分に責任があり、日本に住むひとのほとんどは上位10%~20%に入るだろう、と書いてあるのです。半ば自動的に資本主義の共犯者として生活している事実に頭を抱え、同時に食料を手に入れられずに困る10年後のわたしの姿が急にリアリティをもって迫ってきて、いったいどうしたら……? となりました。

経済成長の規模を縮小し、スピードを落とす。同時にグローバルな公正さを志向し、コモン(社会的に人々に共有され管理されるべき富)と、コミュニズム、市民による相互扶助の必要性とともに脱成長が語られていきますが、おそらくわたし自身もいま一度生活や社会とのかかわりを考えなければならないのでしょう。そしてそれを考えるとき、ふっと一昨年までに経験したようなことは今後できないのかもしれないとも思いました。つまり海外旅行にウズベキスタンに個人で旅行に行くようなことは、もうできないのかもしれない(プライベートジェットを使ったわけでもなんでもないですが)。ただ、地球の気候がこれ以上おかしくなって、災害が増え、食料難になり、となったら、旅行どころではありませんから、どっちをとるんだという話なんだとも思います。なにはともあれ最後まで読み切って、そこから自分に何ができるかを考え始められると思うので、じりじり読み進めてみます。


ほさきから、404notfoundへ

2021/02/13(土)

先週末に剪定した薔薇の枝から、吹き出物のような赤い新芽が伸びています。部屋に置いているヒヤシンスや薔薇の花のほころんでくるのにうさぎ達は大はしゃぎで、トトロの種まきシーンを思い出します。きっとうさぎ達も、わたしのいない間や真夜中にはあんな風に踊っているのでしょう。
水耕栽培、もう少しあたたかくなると水をマメに換えねばならないのですが(去年それで人参が残念なことになりました……)、冬から春にかけては窓辺に置かなくても水替えをさぼっても、あまりトラブルなく花を咲かせてくれる気がします。

震災から十年というハッシュタグを見かけて、covid-19が無ければ今年の春は東北への観光フェアが花盛りだったのではないかと気づきました。NHKの次の朝ドラの舞台が気仙沼なのもそれを意識してのことでしょうし、そもそも東京五輪だって一応は「復興五輪」を謳っていて、聖火は被災地も走る予定です。SNSにも聖火や朝ドラをきっかけに東北の観光情報がくりかえし流れていたでしょう。でも今は。
……いや今だって、一人旅なら問題なく行けるんじゃないか。でも行けるとして今、東京から? ものすごい勢いで回った思考はすぐに一回転して、止まって消えていきました。

散歩に出かけた公園で、ひさしぶりに飛行機雲を見ました。

2021/02/14(日)

土曜日の23:08、そろそろ寝ないと、という頃合いで地震が起きました。
震源は福島県沖、震度はM7.1。わたしの住む東京は震度3程度だったようですが、ふっと弱まって、その直後に大きな波が来るのではないかと思わせる、あの波と長さが辛かった。とりあえずお風呂に水を貯めて寝ましたが、東北及び東京を除く関東圏は停電になっているとの情報に考え込んでしまいました。
眠って起きて、防災用品を確認しました。毎年3月、ここ数年の台風、そして去年からコロナによる自宅療養の可能性が出てきたこともあり、備蓄や避難グッズはそれなりに増やしてきていたつもりでしたが、それでも携帯を低電力モードにする習慣はやめて久しくなっていたし、3つある懐中電灯のうち一つがつかなくなっていたのは結構ショックでした。
マスクや消毒液を避難グッズに追加しなければとスーパーに出かけたのですが、ずらりと並んだ商品棚の前、なんだか途方にくれました。こんなの、足りるなんてことがあるのだろうか。
煉獄さんに会いたい
鬼との戦いのなかで致命傷を負いながら煉獄さんは
俺は俺の責務を全うする!! ここにいる者は誰も死なせない!! と言った
勝負に勝つことよりも敵を倒すことよりも
煉獄さんにはそのことが大事だった
揺るがなかった
わたしはそこにはいなかったけどうれしかったよ
だってわたしのいる国の中心で政治家たちはそんなこと言わない
たぶん全然そんなふうには考えてない  ( 空気の日記 2月3日 川口晴美 ) 

思い出せと頭を揺さぶられるような地震だった、というtweetと、地震が起こるたびこんな風に原発のことを心配しなければならないなんて、というtweetを見かけました。井戸に毒を投げ入れるというデマネタのtweetもたくさんあったようで、いくつか通報しました。

映画「燃ゆる女の肖像」をようやく見ることができました。静かできれいな映画だった。コスチュームプレイの映画を久しぶりに見た気がします。バレンタインだったので、うさぎのもとにはミスター・ドーナツのピエール・マルコリーニ・コラボのドーナッツが届けられていました。


2021/02/15~16(月・火)

SNSから離れようと始めた英語勉強用のアプリが、気付いたらひと月以上続いていました。少しずつ読み進めている小説は、一方でなかなか読み終わりません。

部屋の中の薔薇は月曜から、顔を近づけるとふわりと香るようになりました。苗のためには早めに花を切るのがいいのでしょうが、枝ぶりが綺麗で切れずにいます。

『プリンタニア・ニッポン』のキャラクター・塩野の設定が作者さんのtwitterアカウントでさらっと明かされてうわーとなっていました。佐藤と塩野の関係は好きだなあ、と思います。 そういえば地震の翌日の14日は『作りたい女と食べたい女』のバレンタインイラストを見て気持ちがふっと軽くなったのでした。

冷え込んだ朝の雨から夕方の虹になった月曜、風の強い火曜日と変なお天気が続いています。北の方では週半ばから豪雨または豪雪の可能性が高いと予報が出ました。


2021/02/19(金)

もう一日、もう一日と思いつつ、部屋の薔薇はまだ切れずにいます。蕾の内側から溢れてくる淡くピンクがかったクリーム色の花びらは広がるとピンクの色が消えて、陽に当たるとぼんやり光って見えます。
開いていく花に相変わらずうさぎ達は大はしゃぎなので、薔薇と一緒に毎日何枚も写真を撮っています。





久しぶりに英詩の翻訳をやってみていました。
「英語の授業のような正しさも作品としてのクオリティも求められない趣味だけでやる翻訳とはつまり、個人の妄想めいた作品解釈であり」とは自分のblogに書いた言葉ですが、ただただ無責任に、時にはまったくの勘違いで、きれいな言葉をきれいねと思うのは幸福な行為かもしれません。もちろん、技術なり何なりわかっていた方が作品を読み込めるというのは正論ではあるのですが……ろくにわからないからこそ、能天気に翻訳なんてやれているのかもと思うこともあります。
"May I scatter here"というフレーズが綺麗で、頭の中で転がしていました。わたしがここにまき散らした五月。散り散りに光る五月。

先週に引き続きうさぎが2匹、職場についてきます。同僚のグレーの椅子にもすっかり慣れてふんぞりかえりつつ、「外はすてきなお天気なのになぜわれわれはこんなところに……?」という顔をしているので、時折くるくる椅子を回してやります。

森会長の失言から始まった五輪の組織委員会会長人事は紆余曲折の結果、橋本大臣が後任に決まったようです。「涙が出そうに怖い」という大臣コメントにしろ、何もかもいまだ前会長の掌の上のままなのだと思うとうんざりです。
防災用の笛ペンダントを、気が付いたら一週間つけっぱなしでした。

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